たまにはまじめな話でも

 今回はちょっと物思うところがあったので、
中古ゲームについて。


※別に私は中古ゲーム否定派ではありません。
今更スターオーシャンSFCを新品で買う人間はいませんし。


 中古ゲーム。昔は非常に活用させていただきました。
比較的新しいゲームでも新品より数千円も安く手に入るわけです。
消費者にとっては商品価値がほとんど変化しないものにおいては
価格競争力が何よりも物を言うわけです。


 で、この中古ゲームの値段の決まり方ですが、
比較的奇麗に需要と供給の一致によって決定されています。
たくさん売れても、すぐうっぱらってしまわれたゲームは
価格がすぐに下がります。一方であまり売れなくとも
ほとんどの人間がそれを売りに出さなければ、
値段はほとんど変化しません。


 また、この価格変動は中古市場だけでなく、
一般のゲーム市場にも大きく影響を与えます。
アンサガの大暴落は記憶に新しいと思いますが、
たくさん出してもほとんど売れないという
まさに最悪のケースがここで描かれたわけです。
さらにそれは新品のゲーム市場をも襲い、
新品が2000円で投売りされる始末でした。


 ゲーム市場には再販制がありません。
この制度は本などの市場には存在して、売れ残ったものを
取次、ひいてはメーカーに返品することが出来ます。
一方で許可無く値段を小売店側で操作することは
できないのです。


 需給の関係をほとんど無視した制度ですが、
これには著作権、ひいては“日本の文化”を守るためには必要である、
という大義名分が存在するからです。


 この制度、ソフトウェアや映画、音楽などにも適応されて
いると思います。このあたりは結構曖昧ですが。
なんにせよ、これが出来れば小売店側とゲームメーカー側との
隔たりが現在よりもなくなるのではと考えられます。
というのも、人気作品ばかりを陳列して、
もし売れなかったらゲームメーカーに返してしまえば
売店の損失はほとんど発生しないからです。
先のアンサガの責任もメーカーに取らせることが出来るようになります。
似たようなことをセイヴァーの後にセイヴァー2、ハンター2と
ほどんと単なる焼き直しで製作コストが異常なまでに低かった
アーケードゲームをゲームセンターに導入させて
オペレーターの反感を買った行動も起こらなくなります
(とはいえ、この収益で今その企業は成立していますが)。


 あれ、話しずれてない、と思った方もいらっしゃるでしょう。
確かに若干ずれています。というのも、先にあげた本やCDは
中古ショップが存在しているからです。
ただし、これらの商品は中古で売買する場合は好き勝手に
値段を決めてもいいが、新品に関してはほぼ定価で取り扱っている、
というものです。また、新品に関しては返品が可能である、
という性能をも持っています。


 この制度を用いた結果、日本の本業界では本が売れずに
本屋がつぶれ、その跡地にブックオフが立ち並ぶという
状況が起こっています。雑誌等の比較的ライフサイクルの
短いものについては中古市場は成立しにくいのですが、
小説などといった長期的にも読まれる本はこれが原因で
メーカー側には利益が入ってきにくい、という事態が発生しています。
これで出版業界はほとんど本の売買益によって
利益を生み出すことは難しいのです。
雑誌は広告収入があるので、本を売れば売るほど損になっても
出版している現状があるらしいですが。


 さて、それでは現在のテレビゲーム小売店はどうでしょうか。
やっぱりつぶれています。そもそもテレビゲーム自体が下火
という過酷な現状に加えて、中古市場という存在には
太刀打ちできないのです。


 というのも、新品のゲームと中古のゲームとで何が違うでしょうか。
初回特典やゲームの包装ビニールがはがれているといった、
庶民には比較的縁遠い話はさておいて、CDに若干傷があるか否か、
というところに終始するわけです。CDの傷はそれこそ致命的な場合は
もはやゲームにならないほど商品価値は劣化していますが、
ファミコンソフトの中古は端子接触にどれだけ悩まされたことか。
これよりは幾分もマシです。
つまり、中古と新品は一般人にとってはほぼ同一の質でしかないわけです。
プレーするに当たって支障がなければそれでよい。


 本は古いものだと若干気になります。というのも、
その財を消費している時にテレビゲームよりも目に付きやすいからです。
これを嫌って新品しか買わない人間もいます(私です)。
どうでもいい本やあまりに高価な専門書は中古ですけど。


 また、テレビゲームは比較的高価なため、中古によって
幾分か投資額を回収したいと考えるわけです。
さらに、この買取額は比較的高いです。ドラクエを2日でクリアして
3日目に売ったらお釣りが来た、というケースも昔はありました。
現在ではゲームカセットではなくゲームCDなので生産が
追いつかないということはあまりないとは思いますが。
少なくともブックオフのように10円買取100円売りという
ものの比較にはなりません。


 確かにテレビゲームの中古市場はそれゆえに発展しましたが、
テレビゲーム業界としては黙っていられるものではありませんでした。
新品の購買者がそちらに流れてしまうと考えるのも確かに一理あります。
その結果ゲームメーカー数社が中古ソフトは違法と提訴したことは
ゲーマーの方なら記憶にあると思いますが、結果的に
メーカーはこれに敗れることになりました。


 まぁ、この方法ではゲームメーカーは小売店にゲームを売った時点で
利益は回収できるわけで、小売店が泣く泣く損切りしても
ゲームメーカーは知らぬ顔ですし、逆に非常に売れるソフトがあれば
新品価格と同様の値段で小売店に売りさばけるという
まさにゲームメーカーのための、ゲームメーカーの利益を第一優先した、
売店や既存の中古市場、ひいてはユーザー泣かせの法案ですが。


 しかし、負けたゲームメーカーも黙ってはいません。
中古の価格に対応できないなら、わざわざ値段を下げて
ザ・ベスト、つまりは同一内容、またはマイナーチェンジした
廉価版を発売してより利益を回収しようと。



 ユーザーは新品を中古価格で購入できるし、ゲームメーカーも
中古市場の何割かの利益を回収できるから中古市場以外にとっては
いいことでは、と思うでしょう。


 しかし、そうは問屋は卸さないのです。別に卸しますけど。
そもそもザ・ベストというのはテレビゲームがある程度古くなったときに、
中古価格と価格競争力を持つ形で売るのです。
これはまず第一に当初の新品価格で購入したユーザーを裏切っています。
若干早く手に入ったんだから、その分の投資、といいたいところですが、
そもそもテレビゲームを“いつプレーしようがかまわない人間”に
とっては迷惑な話なわけです。


 小学生は友達がポケモンの話題を学校ですると付いていけないから、
自分もポケモンを買う、という消費行動があるとします。
ただし、いわゆるファミコン世代ともなると友人はすでに
ゲームから卒業し、テレビゲームの話題を気にする必要はありません。
むしろ、そんな話ばっかりしてると他人から引かれます。
それなら、別に1年待っても良かったかな、と思うユーザーが増加していきます。


 また、バグも修正されていたりなど特典もあります。
昔はバグ技などで笑えた時代もありましたが、プログラムが複雑化し、
下手をするとゲーム進行の妨げが初期バージョンで発見されるケースがあります。
SO3は典型例です。
むしろ初期版はバグ調整版なので買うなと?
どっかの誰かさん(偉い人)がこんな話を公言できる世界です。
初期版が売れなければそもそもザ・ベストという名前負けします。


 さらに、ゲームメーカーは再利益を簡単に手にすることが出来るので、
初期版の在庫が基本的に吐けた状態、かつ消費者がそのゲームの存在を
忘れ去らない程度で発売する必要があります。
で、その期間がわずか約1年とは…。
初期版を買ったユーザーは泣くわ、小売店も返品できないわ、
半額の新品が入荷されるわで、結局ザ・ベストはリコールしてるんでしょうか?
詳しくないので知りませんが、小売店が返品できても消費者からは
リコールできません。


 で、この約1年という期間は私からそのテレビゲームに関する
関心を奪い去るには十分な期間でした。
SO3DCも放置してしまいましたし、
あれだけ買う買う言ってたDQ5もいつかやるだろう、です。


 つまりはユーザーは早く買っては損をする、ということはいつか出るのを
待とうと知恵をつけるようになりますが、その知恵すら時が経ってしまえば
ほとんど忘れてしまうわけです。
確かにスクエニのアルティメットシリーズはよく売れました。
DQやFFといった超有名タイトルを投入してきましたから。
中学生の小遣いでも比較的簡単に変える価格に設定しましたから。
でも、そうするとDQやFFを現在でも支えているファミコン世代は
次のDQやFFを初期版で買おうとするのでしょうか?



 少なくとも価格競争力を持たせる、という点においては
廉価版はメーカーにとっての利益を生み出すことになっています。
しかし、これはユーザーを疑心難儀にさせるだけでなく、
自身の未来をも破滅させていくような気がします。
私個人の考えとしてゲームメーカーがソフトウェアを
このように販売していく形式はもはやあまり得策ではないと思います。


 では、何が得策かについてはまた次回ということで…。
って、次回があるのかどうかも分かりません。
推敲もせず支離滅裂な文章を心の赴くままに書いているので。